
自分の親が毒親だと知るきっかけになった本(毒になる親/不幸にする親)には、最後に親との対決をという章があります。
そこから一歩踏み出すために、「対決をする手段として手紙を書く」というものが紹介されていた。
私は、これをしていない。そして、個人的には、この「手紙で対決する」ことを鵜呑みにして実行するのは、一旦とどまった方がいいのでは、と思っている。
その理由についてこちらで紹介します。
かつての私の(毒親だと気づいてからの)体験記も少しずつ綴っていますので、ご興味ある方はそちら「毒母との対決(1)」もご覧ください。
1.毒親との対決をする?しない?手紙はどうする?
自分の親が毒親だとわかったら、目からうろこで、どうにか次の一歩を踏み出したい。そう思う方も多いと思う。
今までのこの辛い気持ちの理由がわかると、どんどん次に行きたくなる人が多い。実際に私もそうだった。
ただ、私自身の経験や、これまでに毒親育ちの方たちの自立支援や相談を受けてきた立場からすると、一旦踏みとどまってほしいと思う。
手紙を書いて対決する」という行為自体を否定するのではなく、順を追って、「必要であれば」且つ「有効であれば」実行したらよい。と、個人的には考えている。
それでは、いったいどうしたらいいのか、何をしたらいいのかを、順を追ってご紹介します。
_1-1.手紙の前に、物理的に距離をとる
物理的に郷里を取ることを最初にしてほしい。この辛い状況にあるのは、「毒親との関係が原因だとわかった」
早速対決して、もっと楽になれるのならどんどん先に進めたい。そう思う方が、私のところに相談に来る方にもとても多いです。
でも、本を読んで仕組みが分かっただけで、状況(環境)は何も変わっていない。
あなたが本を読んで理解しただけで、相手(毒親)は何ら変わっていないのです。
心の距離も、物理的距離も、関係性も。
そんな状況で突然、貴方から対決の手紙が届いたら、相手はパニックになります。毒親の毒レベルが高いと、下手をすると殺されるか自殺してしまいます。
そこまでいかなくても、毒親ですので、これまでの共依存関係を最大限に活用して揺さぶりをかけてきます。
せっかくあなたの中に学びがあって、これから対策を立てていこうと言うところにきたのに元も子もありません。
まずは、物理的に距離をとることをお勧めします。
同居しているのであれば、できれば家を出てください。家を出る理由は、前向きで差しさわりのない理由が良いです。
家を出ることが難しいようであれば、同じ家の中でも、できるだけ離れた部屋に自室を映してください。それも難しいようであれば長期戦になりますが、それは覚悟してください。
本気で毒親から解放されたいのであれば、別居しない限り難しいケースが殆どです。
_1-2.接点を少しずつ減らしていく
引っ越しや部屋の移動ができた場合は、それだけで接点が劇的に減ります。
住まいを分けると決めた時や、実際に引っ越すまで、引っ越した直後などは、「心配だわ」「ごワン食べれてるの?」「〇〇を戴いたから取りにいらっしゃい」などと、様々な理由をつけて観照してきます。
できるようであれば頑なに断ってOKですが、あまり刺激すると、かえって面倒な操作をしかけてきます(具合が悪いから病院に云々など)。
ですので、そういった場合は、自分の新しい生活環境に入り込ませないようにしながら、毒親のところに少し顔をだしつつ付き合いましょう。
あまりにも相手にしないと、彼らは押し掛けてきたりします。せっかく距離をとるための新環境を用意したのに、入り込まれては元も子もありません。
少しずつ距離を取ってあげることで、毒親にも徐々に適正な距離を体感させるほうが結果的にトラブルになりにくいです。
_1-3.急に絶縁すると|極端な実例(失敗例)
私と母の関係の話になりますが、私の母は自殺しました。
当時は、私が精神的に完全に追い込まれていたことと、母が私への執着を手放せずにさらに追い込みをかけてきていたこと。
私は一人で子供を育てていたこと。生きねばならない。という状況下にあり、精神科に通っていました。
人生でワースト3に入るほどのどん底の心境でした。そして、その時の主治医から、母とは絶対に逢ってはならない。と指導されていました、
母にもその旨を伝え、彼女は納得できないけれども、私に合いに来ることはしませんでした。
その代わりに、手を変え品を変え、私が彼女に連絡をしたり、愛に行かざるを得ないようにさんざんに揺さぶりをかけてきました。
徹底した共依存の末路です。そして、そのたびに、母からの操作に立ち向かいながら、わが子と私の人生を守るためと、必死では母との距離を保チ続けて1年後。母はついに「私への当てつけ自殺」をしました。
いずれまた「母のこと」のカテゴリに追記していきますが、毒親との距離の図り方を間違えると、最悪こういった事態になることもあります。
そして、これも毒親あるあるかもしれませんが、もう少し一般的な例を。
警察沙汰系を起こす毒親もいます。
共依存関係の家族が自分から離れようとするとき、自宅でわめきちらしたりして、ご近所の方が警察を呼ぶ。そして、警察やその毒母からの電話がひっきりなしになる。
そういったところに持ち込まれるケースも多いです。
とにかく、急激に距離をとるという行為はもろ刃の刃です。様々な覚悟があるのなら有効ではありますが、個人的にはある程度準備して徐々に距離を測る方がよいかと思います。
2.毒親との対決をしない場合
毒親との対決をしない、という選択肢。ありです。
あまりにも共依存関係が深い場合は、対決まではいかずとも、こちら側からの心の中での決別にとどめる。
になるのかもしれませんが。何も必ずしも「正面切っての対決」をしなければいけない、なんてこと、無いと思います。
_2-1.対決準備が整ってもそのままでもいい
物理的な距離をとり、接点を減らし、毒親との関わり自体が減った。
そして、そんな生活に、自分自身も、毒親も少し慣れてきて、以前のような揺さぶりを書けてくることもなくなった。
もしも、そういった場合は、必ずしも毒親との対決はしなくてよいと思います。
「毒親」という言葉はショッキングな単語で、その表現を使うと、とても悪者のように思えますが、「子育てが下手くそ」で「子育てに諮らずとも毒を盛り込んでしまった」という可哀そうな親なのです。
そして、彼らもまた、彼らの親から受けた毒入りの子育てのせいで、子供へのかかわりが下手くそなだけなのです。
毒親のした子育てが原因で子供が辛い。のも事実ですが、毒親ではあっても、愛情も一生懸命に注いで(下手ですが)、彼らなりに一生懸命子育てはしてきたのです。
であれば、不必要に親を(たとえ毒親であっても)傷つける必要はないと思います。
適正な距離がとれて、自分が毒親に挑める準備ができたときに、今一度、どうするか、をその時に考えてください。
お互いに依存のない、心地よい距離感での関係性が保たれているのならば。
_2-2.毒親の興味関心をほかにそらしてあげる
毒親の毒度合いにもよりますが、愛情深い親ほど、執着が強いです。
執着と愛情をはき違えていたり、心配だからと操作をしかけてきたり。それが当たり前の毒親が多いことも事実です。
そういった毒親の場合は、貴方が距離を取ろうとすると、不安になり揺さぶりをかけてきます。
そういう毒親には、最初は少し面倒でも、彼らが満足するような代替えの何かを与えてあげるとよいでしょう。
その行為自体(代替え行為の提案)も操作のようなものではありますが、相手が辛くなる=あなたへの観照が増える。という悪循環を断つためです。
毒親の愉しめそうな、興味関心のあるものに時間を費やすことを提案してあげるとよいかもしれません。
ただ、毒親は「あれは嫌だ」「これもダメだ」と貴方への執着が強ければ強いほど、わがままを言って振り回すこともあります。
そういった場合は、無理に付き合うことなく、そっと距離を置きましょう。
_2-3.距離を詰めてきてもとりあわない
何十年とお互いに操作しあってきた共依存関係の親子であれば、距離をとるようになったとしても。「共依存の波」があります。
それは、誰でも毎日暮らしていれば、気分の良い日や良いことが合った日、または嫌なことがあった日。不安になるような出来事にとらわれてしまう時など。様々です。
それと同じように、毒親との関係を健全なものにしようと、一定の距離が取れるようになったとしても、時折、毒親は距離を詰めてきます。
思い立ったように執拗に連絡をし、こちらが忙しくて対応できないだけであっても、異常なまでに「心配している」「どうなっている」とコンタクトをとってくることがあります
そんな時でも、騒ぐだけ騒いで、相手にしてもらえないとわかると、どこかのタイイングであきらめたり、ターゲットを(他の兄弟や家族などに)変更してケロっとしていたりします。
私の母は自殺してしまいましたが、これは非常にまれなケースです。
基本的にはケロっとしています。また、万一自殺をほのめかしたとしても、何度かは自殺未遂(自殺酸っぱい)をしますので、最初から命が絶たれるのは稀だと思います。
仮に、相手が自殺をほのめかしたとしても、それに屈すると貴方の人生があなたのものではなくなります。そのことを忘れないでください。
対決の手紙を書くことは有効だと思います。
ただし、その手紙を毒親に渡すことが、必ずしも有効かどうかは、その親子関係、毒親の毒度合いと、こちら側の覚悟の度合いによって異なると思います。
もう、二度と逢わなくてもいい。毒親がショックで立ち直れなくてもいい、とにかく、自分は親を捨てる覚悟で、これまでの自分と毒親の関係を清算する。
そういった強い意志があり、かつ、ご自身が毒親と別に暮らしていて生活も自立されているのであれば、ありかもしれません。
ただ、やはりその場合であっても、手紙の提示はしない方がよいケースもあるかと思います。そのあたりは、ご本人とお会いしてお話をしてみないことには何とも言えない、というのが正直なところです。
_3-1.対決の手紙は書いてもいい
ただ、手紙を書くのは大いに賛成です。
何故なら、これまでに毒親にされたことや、自分が許せないと思っていること、彼らに言いたい頃など、ずっと幼少期から我慢してきたことを
吐き出すことができるから。
問題の可視化ができる。自身の気持や思考の整理ができる。
自分の親が「毒親だった」ということへの理解が深まるからです。
現状がしっかりと理解できることで、改めて、毒親との距離をしっかりと取ろう、と思えるようになるので、有効だと思います。
_3-2.書いた手紙は必ずしも毒親に見せなくてもいい
繰り返しになりますが、見せなくてもいいと思います。
見せることで、毒親が強烈な場合は返り討ちにあったりして、かえって対決前より関係が悪くなり、さらに虐げられてしまうことがあります。
また、毒親側に理解が芽生え、お互いに関係修復ができそうなケースだった場合には、ただ親を傷つけてしまうことになります。
対決の手紙は、書いても良いですが、見せなくてもいい。
基本的にはその親子関係ごと、またお互いのその時の状況に寄りけりですが、「対決の手紙を書いて親に出した」方で、何か良くなったという方は、私の知る限りではいません。
まとめ
毒親との対決についてご昇華しました。少し長くなってしまいましたが、端折って書くには難しい項目でしたので長文記事になりました。
私は40年ちかく、毒強めの母親との共依存関係に苦しみました。
毒親からの自立をし、今は幸せに暮らしています。そういった経験をもとに、数年前から共依存や毒親関係のご相談を受けています。
とっかかりとして「毒親とは何か」ということへの理解と「共依存とは何か」という事への理解。そして正しい理解から、ゆっくりとでも1歩を踏み出していけるお手伝いができればと思っています。
苦しみの理由がわかると、次のステップへふみだせるようになります。ただ、あまりにも早急にその一歩を踏み出すと、ケガをすることもあります。
冷静に、そして、確実に、ご自身の人生の舵を切るための参考になれば幸いです。