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【映画|恋妻家宮本】を観て「生きる」「食べる」について感じたこと

こんにちは、雨水です。

AmazonPrimeで映画を観ました。

「恋妻家宮本」という作品で、阿部寛さんと天海祐希さんが夫婦として演じる宮本夫妻のお話です。不器用で真面目で冴えない中年男性の宮本と、さばさばした妻美代子の熟年夫婦の恋愛物語です。

そして、教師をしている宮本のクラスに、機能不全家庭の男の子がいて、物語は教師としての宮本と生徒の関わりといった軸でも展開していきます。

毒の人絶対NGという時には、お勧めしませんが、毒のプログラムやルール、毒の人との対峙をしながら、生きよう、頑張ろう、と思えている時には、励まされ、あたたかい気持ちになれる作品なのではないかと思います。

こんな方におすすめです

夫婦や恋人同士、友人と、もちろん一人で見ても楽しめる映画だと思います。

この映画をお勧めする方
  • 生きよう、頑張ろう、と思っているけど少し辛い方
  • 日常生活に少し疲れた方
  • 恋人や夫婦関係で悩んでいる方
  • 不器用で生き辛さを抱えている方
  • 苦しくなると拒食気味になってしまう方
  • 映画を見て、現実との距離を置く時間が欲しい方
  • 解毒が進んできた方

反対に、

この映画をお勧めしない方
  • とても苦しい方
  • 毒の人が登場する作品などと距離を取りたい方
  • 毒の人との関わりで、距離が取れずに苦しんでいる方

こういった方は、今回の作品はお勧めしません。

あらすじ

阿部寛扮する「冴えない」「不器用」「優柔不断」な中年の学校教諭宮本洋平。海祐希さん扮するさばさばした妻美代子。この二人が、子どもの独立を機に熟年夫婦が送る日常が描かれています。

一方、職場では機能不全家庭の中にいる教え子に関わりながら、教師として?人間的に?遅まきながらの成長を遂げる宮本がコミカルに、あたたかく物語が展開されます。

そして、ハッピーエンドで終わる作品です。

感想(ネタバレ多少あり)

大きなトラウマや、深い毒の傷が癒えている今だから楽しんでみることができました。

つらい時はちょっと厳しい作品かも、とも思いますが、「ちょっと辛い、泣きたいという時には、私は観たいな」、と思いました。

天海さん扮する妻美代子の、中年女性の夫へ言動に笑ったり共感したり。

不器用な夫洋平のどんくさくて愛らしいところや、うろたえる様に笑ったりしました。

主人公洋平が担任している、機能不全家庭で育った、「自分のことが嫌い」なクラスのムードメーカー「ドン」を見ていると、胸が痛みました。

そして、ドンの家庭での毒の大人たちに、つらい気持ちになったりしながらも、洋平が一生懸命に「優しい言葉」を紡いでいくシーンに涙が出ました。

機能不全家庭や、毒親育ちの子供の心の傷がこんなに簡単にうまく運ぶことなんてない。

と、頭のどこかで違和感を覚えながらも、作品としてハッピーエンドにもっていってくれたとことに救いを感じました。

 

胸にささったシーンなど

作中で心に響いたコトバとそのセリフのあったシーンをご紹介したいと思います。

生きることは、食べること、と思ったシーン

食べないってことは
生きる気がないってことだ
そんなの嫌だろ?

これは、入院中のドンの母親を見舞った洋平が、ドンに母親の様子を語ったシーンで登場します。

私は、物心ついたときには摂食障害でした。

拒食傾向があります。今も、正直色々な事が重なると、気が付くと食事量が減っていることがあります。(バロメーターです)

共依存から抜け出そうとあがいてた時に、「食べる」ということに並々ならぬ罪の意識があった時期がありました。

「食べることは生きること」といったメッセージを、優しく、静かに、ドンに語る洋平を通じて、自分自身の中に改めて落とし込めたと感じています。

摂食障害に苦しむ方に忘れないでほしいのは、「摂食障害を抱えていることでご自身を責めないでほしい」という事です。

「摂食障害」はなくなるに越したことはありませんが、その原因が別にある。その辛さから起こっている症状だということ。

「生きていていい」「食べて良い」という事をいつか、元気な時に、心に留め置ける日が来たら、そうして欲しいと、願っています。

 

正しいことより、優しいことを大切にしたいと思えたシーン

正しいと思います。

けど…

優しくない…

(略)

正しいことをするのは
もちろん
大切な事です

だけど

優しいことをするほうが
もっと大切なんじゃないでしょうか

バリバリのパワー系、THE正論!毒のおばあ様が登場し、「私はこんなに我慢して頑張ったのに」と、洋平やドンを強く攻め立てるシーンで登場するセリフです。

正しいことは大切だけど、正しいことよりも優しいことの方が大切な時もある。

という事を、不器用な大柄の中年男が、一生懸命に毒の老女に伝えるシーンでした。

毒の人は、

  • 自分がいかに正しいか
  • 自分がどれだけ苦労してきたか
  • 自分がどんなに頑張ってきたか
  • 自分がどれだけ自分を犠牲にしてきたか

そういったことを印籠のように振りかざし、全うしてきた!と強く相手を攻撃することが往々にしてあります。

それを、優しさで受け止めたシーン。

実際はこんなにうまく運ぶことはない、と頭ではチラチラと感じながらも、項だったらいいな、せめて、この物語の中では、優しく運んで欲しいな、と思いながら見ていました。

ただそばにいればいい、と思えたシーン

言葉が浮かばなかったら
そばにいればいい

そして、帰る時間が来たら言えばいい
また明日
来るね
って

ドンが母親を見舞いたい、でも、色々な思いがあって迷ったシーンで、洋平がドンに伝えたセリフです。

どうして良いか分からない時。

大切な人が傷ついていて

自分も傷ついていて

でも寄り添いたいのに、どうしたらいいか分からない時。

そんな時は、ただそばにいるだけでいい。

そして、またね。という言葉だけで、相手は安心できたり、嬉しかったり、心強かったり、癒されたりする、ということがギュっと詰まっていたシーンでした。

作品をきっかけに行った自己分析と備忘録

手作り弁当が登場するシーンがあります。

私は、手作りのお弁当にことのほか感情が揺さぶられます。この映画を見ていても、やはり涙がでましたし、これを書いている今も、涙が出ています。

せっかくなので、自分の心の声を聞く方法として私が実践しているやり方をご紹介します。

心が揺れる事象をきっかけに自分の感情や思考を観察する方法

おそらく幼稚園頃の記憶ですが、母が台所に立ってお弁当を作っているのを見ると、胸が締め付けられるような心持にいつもなっていました。

そして、母が作ってくれたお弁当を広げる瞬間も、やはりずっと胸が痛みました。

どんな気持ちだったのかを分解すると

  • お母さん、ごめんなさい
  • お母さんに申し訳ない

この二つです。「お母さん、ありがとう」もありますが、圧倒的に「申し訳ない」「ごめんなさい」という気持ちで感情が支配され、泣きたくなります。

これをさらに分解すると

  • お母さんは忙しいのに、私の為にお弁当を作らせてしまった
  • 私のお弁当さえなければ、もう少し休めるのに
  • お母さんは一生懸命に作ってくれたのだから、味わってありがたく頂かなければいけない

こんな感情です。

そして、この感情の根幹には

  • 私なんか

がひたひたと流れています。「私なんか…」に続くのは

  • 私なんかの為にお母さんの時間を使わせて
  • 私なんかの為にお母さんのやることが増えて

です。さらにもう少し深堀すると

  • 私なんて生きている価値がない人間に食べさせなければいけないお母さんは可哀そう
  • 私がんかがいるから、お母さんの人生が変な風になった

です。ああ。思っているな。思っていたな。と、思います。

そして、今は、「これを書いている『今』は」、

  • 全部母が私に言っていた言葉だよね
  • 母の言動から、私が作り上げた思考だよね

ということがわかります。わかっています。でも辛い。

これが、解毒を終えた今でも、まだ残る傷跡を撫でる作業。

完璧に忘れ去る日も、きます。実際にそういった方もたくさんいます。

私もそうなります。なるつもりです。そして、つもり、よりは言葉をしっかりと脳回路に記憶させたいので正しく使います「私はそうなる」。

「私は、母とのトラウマ事象を思い出しても辛くならない。へっちゃらになる」

でも、今はまだ辛い。傷がうずくことがある。でも、それでいい。

受け止めます。

だって、当時の私、とても可愛そうですから。

ごめんね。と思います。母の代わりに、私が抱きしめる。

辛かった。

苦しかった。

寂しかった。

心細かった。

言葉にする。

しっかりと、言葉にする。

そして、

生きていてくれて、ありがとう。

と、自分自身に言います。伝える。

とても大変でした。

大変だったね。と。

世の中にはもっと苦しい思いをしている人が沢山いることも知っています。

でも、だから何?なのです。

それはそれ、これはこれ。

苦しい人がいる。だから自分はどんなに苦しくても言葉にしてはいけないのか?

いいえ、そんなことはありません。

苦しいのは、その人本人にしかわからないものです。

そして、それを本当の意味で癒せるのは、自分自身です。

つらい時に無理に向き合う必要はありません。

でも、今の私は、向き合うことができる日が多い。

だから、向き合える日にバチバチと向き合って、整えていく。

辛かった。と直視して、傷跡を確認して、消毒して、絆創膏を貼ります。

知らない内に傷が治って、絆創膏も勝手にはがれてくこともあれば、いつまでも可能していて治らないこともあります。

目には見えなくても、心も体も、傷を負ったら同じようにケアすればいい。

そう、思っています。

まとめ

最後は、私が実践している「自己の観照方法」「思考の観察方法」を実践しながらのご紹介になってしまいましたが、やってみようかな、という方は「コンディションの良い時に」試してみてください。

このやり方は私の相談室などで行っているやり方ですが、初めて挑戦する場合、気持ちが落ち込んでいたり、不慣れな方は、トラウマを丸腰で深堀する作業になってしまいますので、苦しい場合は中断してください。

「雨水さんはどうやって自分の気持ちを読み解いたり、苦しい時の思考や感情のコントロールをするんですか?」

といったご質問が最近続いたことと、本作品を見ながら、私の中にある過去の傷がうずいたので、ご紹介しました。

本記事でご紹介した作品は、Amazonプライムでも見れるようです。

機能不全家庭の描き方が少し安直な部分もありますが、映画作品の中でハッピーに収めるためには仕方がないかな、とも思えるものです。

毒の人に敏感な時にはお勧めしませんが、毒の人が作中に登場しながら、「毒の人に受けた傷を癒すような言葉に触れたい」といった方にはお勧めです。

ABOUT ME
usui
毒親・機能不全の家庭で育ちました。 母との関係を清算しようと対峙した結果、母は自死しました。 何年もかかりましたが、毒家族との関係を断ち、今では幸せに暮らしています。 鬱やAC、共依存、毒親、精神疾患に苦しむ方やそのご家族のお役に立てることがあれば。思ったことや経験談をシェアしていきます。